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看護師がお話する『妊娠検査薬とhCG注射について』

2023.9.1
レポート
看護師より

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看護師がお話するシリーズも早くも第4回目となりました。今回は妊娠検査薬とhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とについてお話させて頂きます。

妊娠検査薬は尿中に排出されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を検出ができる検査キットです。
hCGは主に妊娠中の子宮に形成される胎盤の絨毛組織から分泌されるホルモンであり、受精卵が着床すると血液中(尿中)に排出され始めます。hCGの役割は妊娠初期に卵巣の黄体を刺激して、プロゲステロンの産生を高めることにより妊娠継続に重要な働きをしてるといわれています。またhCGは排卵を促すホルモンである黄体形成ホルモン(LH)に化学構造が似ているため、不妊治療においては卵胞の成熟から排卵を促す目的でhCG製剤を皮下注射することがあります。hCG製剤を注射すると36時間以内に排卵することが多いといわれています。当院では排卵誘発剤を使用したタイミング周期や人工授精当日に排卵していない卵胞が超音波で確認された場合に医師の指示で看護師よりhCG注射をさせていただくことがあります。注射部位には多少の痛みを伴いますが、妊娠の可能性を高めるための大切な医療行為の一つとしてご理解頂ければと思います。

タイミング周期や人工授精周期の場合は高温期が18日以上続く、もしくは排卵の時期から3週間以上生理が開始しないようであれば妊娠の可能性があるため、市販の妊娠検査薬で妊娠判定をお願いしています。妊娠検査薬で妊娠判定の陽性が出ましたらお電話でご報告いただき、血液中のhCGを測定させていただくために土曜日と夕診以外を除いて受診をお願いしています。

妊娠しているかどうかの結果を早く知りたいために、排卵後の早い時期から妊娠判定を行ってしまわれる方が時々いらっしゃるようですが、早すぎる妊娠検査には注意が必要です。特にhCG注射を行った周期には、注射由来のhCGが7-10日間くらい体内に残存するといわれており、hCGの薬剤に反応して妊娠していないのにもかかわらず妊娠判定薬が陽性反応を示すことがあります。

妊娠判定薬を使用する時期についてご不明点などございましたら、気軽に看護師にご相談ください。

 

~『看護師がお話する』シリーズは下記からもご覧いただけます~

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