ニュース&トピックス

体外受精による出生児調査のご報告

2022.10.26
レポート
生殖技術部門より

ホームページをご覧のみなさまへ

1978年に世界初の体外受精児が誕生して44年が経ちました。日本では2020年に総出生数の7.1%、すなわち14人に1人が体外受精をはじめとする高度生殖補助医療(ART)により生まれています。今年4月より始まった、不妊治療の保険適用により、今後さらにARTによる出生児が増えることが予想されます。しかしながら、出生児の長期予後についてはわからないことが多く、今後も慎重に調査していく必要があります。

2010年度より厚生労働省後援の研究として全国の体外受精児と体外受精児以外の健康調査が行われてきました。その研究結果によると8歳時点で身長、体重に大きな違いはなく、問題行動を起こしたり自閉症になる可能性についても差がないという結果でした。

当院でも現在、出生時と1歳半、3歳、6歳と予後調査を実施しております。今まで当院の治療によりご出産された方々にご協力をいただき、児の予後を調査してまいりました。長い間ご協力いただいた皆様にはこの場を借りて感謝申し上げます。当院の調査結果も厚生労働省の大規模調査の結果と同様、各項目の違いはありませんでした。

体外受精によって生まれた新しい生命は体外受精以外で生まれた児と同様、世代を超えて引き継がれていきます。後の世代の視点からも、今後も長期にわたり検証していかなければなりません。今まで調査にご協力いただいた皆様や今後当院の治療によってお子様を授かった方々に児の予後調査へのご協力をよろしくお願いいたします。