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着床に必要な“孵化”を助ける技術を知っていますか?

2022.6.29
レポート
生殖技術部門より

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培養室でお預かりしたたまごを子宮に戻す前に行う“孵化補助術”についてまとめてみました。

たまごは透明帯と呼ばれる殻の中で成長します。胚盤胞にまで育つと、自力で透明帯から外に出てくる“孵化”という現象が起きます。孵化したたまごが子宮内膜に着床することで妊娠成立です。Assisted Hatching(孵化補助術)とは、この“孵化”を助ける技術です。

凍結融解したたまごは透明帯が硬くなるという報告があります。そのような自力で透明帯を破りにくいたまごの孵化をサポートするために行います。

分割期は細胞同士がくっついて一つになる前の状態です。穴をあけてしまうと、透明帯から出てバラバラになってしまいます。そのため分割期では穴をあけるのではなく、胚盤胞まで育った時、孵化しやすいように透明帯の一部を薄くしています。

逆に胚盤胞はすぐ出てこられるように、透明帯の一部分に穴をあけています。

レーザーをたまごに当てて問題ないのかとの質問を頂くことがありますが、レーザーは透明帯のみに照射するため、たまごに影響ありません。

凍結融解胚には全例行います。新鮮胚移植では、35歳以上、当院3回目以降の移植、患者様希望例、透明帯が厚い症例に行っています。胚盤胞グレード5・6は、すでに自力で孵化が始まっている、または完了したたまごの為行っていません。