ニュース&トピックス

PFC-FD療法について

2021.5.18
お知らせ
医局より

ホームページをご覧のみなさまへ

今回は、当院で開始したPFC-FD療法を紹介したいと思います。

PFC-FD とはPlatelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dryの略称であり、日本語にすると「血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存したもの」という意味になります。
血液は赤血球、白血球、血小板という3種の細胞と液体成分の血漿から構成されています。中でも血小板は“血小板由来成長因子”と称される多数の成長因子、サイトカイン、タンパク質、ホルモンを含んでおり、組織の修復や機能調整、改善に重要な役割を担っています。

ところでPRP(Plasma Rich Plate)療法はご存じでしょうか。

PRPとは血液中から血小板を高濃度で抽出したものであり、上述した成長因子等も多量に含まれています。このPRPの有効性については10年以上前から研究されており、現在整形外科や形成外科の領域で実際の臨床で用いられています。生殖医療の領域でも研究が進んでおり、例えば、早発卵巣不全の患者311人対して卵巣へのPRP療法を行った結果、224人(72%)で自然月経の回復(卵胞の発育)を認め、23人が自然妊娠、201人が採卵を行い13人が妊娠に至ったと報告しています。また、子宮内膜が薄い方への有効性を示した報告もあり、卵巣機能不全の方や子宮内膜が薄い方に対する有効性が評価されている治療法になります。

今回当院で用いるPFC-FDはPRPから血小板を除去して成長因子やその他タンパク質等のみをより高濃度で精製したものになります。PRPよりも成長因子の濃度が高いため更なる有効性が期待できること、またFreeze Dry加工をしているため保存可能な期間が長い(6ヶ月)ことが特徴です。

治療方法は、まず治療を希望される方から採血を行い3週間かけてPFC-FDを抽出、精製します。その後所定の月経周期に、卵巣不全や卵巣機能低下の方には卵巣に投与し、子宮内膜が薄い方や着床障害の方には子宮に投与するという流れになります。ご自身の血液中に含まれる成長因子を使用するため、拒絶反応や感染症のリスクが大変低いのも本治療のメリットの一つに挙げられます。

本治療を行った全ての方に効果を認める訳ではありませんが、特に卵巣機能が低下している方や子宮内膜が薄い方に対して有効性が期待できる治療法と思われます。

説明希望の際はいつでも診察室でお尋ね下さい。