特殊な不妊治療技術の概要

その他の治療方法

TMET-経筋層胚移植

通常の胚移植法の他に直接子宮筋を通して行う胚移植法を行っています。 この方法により従来の胚移植法で妊娠しなかった方の妊娠が可能となります。

AHA―孵化補助術

着床障害、特に透明帯通過障害の方の治療に用い、孵化(ふか:卵子の細胞が透明帯から外へ飛び出すこと。)を容易にする方法です。当院では赤外線のレーザー光線を用いて行うため、安全かつ信頼性の高い方法で施行できます。これまでどうしても着床しにくかった方にとっては革新的な技術です。

ミトコンドリア活性法

加齢などにより胚の質が悪い場合、ミトコンドリアを活性化する方法です。 それに加え、排卵誘発剤などの刺激に対する反応が弱い方にも投与し、 採卵数が増加することが当クリニックの研究で分かっています。

メトフォルミン療法

メトフォルミンは、インスリン抵抗性が高血糖の原因と考えられる糖尿病の治療薬です。 PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、卵巣内のアンドロゲン(男性ホルモン)濃度が上昇し、 これによって排卵障害、OHSS、卵の質の低下を招きます。 海外で、メトフォルミンをPCOSの患者様に用い、良好な改善結果を得ており、 当クリニックでも、さっそく導入し改善がみられた患者様もおられます。

シルデナフィル膣坐薬による子宮内膜改善法

子宮収縮による子宮内虚血に注目し胚移植時に子宮収縮抑制剤を用いる方法で 子宮内循環の改善を図り着床率の向上に成果を上げています。  この腟坐薬を一日二~四回使うと直接吸収され子宮内膜の血流が改善し、 内膜が厚くなると言われています。

r -FSH (遺伝子組み換えFSH:商品名「フォリスチム」)

現在、広く使われている 卵胞刺激のための注射薬(FSHやhMGと呼ばれるもの) は、閉経した女性の尿から精製する方法で作られていますが、 r-FSH は、従来のものと比べ純度が非常に高く( 99% 以上の純度)、製造番号ごとの純度のバラツキもないことから、 1995 年に EU 諸国で販売が開始されて以来、日本での発売が待たれていました。現在使用されている閉経期女性の尿由来製剤と比較し、純度と品質の点で優れている、少ない総投与量で効果が得られる、皮下投与が可能、採卵数・卵子の質・移植可能胚数が増加する点で優れているとされています。ただし、従来のものと比べ費用がかかるため、費用対効果などの点から尿由来製剤でよいとする意見もあります。