卵管鏡下卵管形成術 (Falloposcopic Tuboplasty)

卵管鏡下卵管形成術(以下、FT)とは、子宮口から挿入した卵管鏡を用いて直視下に卵管口(子宮内にある卵管の入り口)へカテーテルを進め、これにより卵管間質部~峡部の閉塞や狭窄を解除する処置のことをいいます。
卵管因子による不妊症の方に有効な治療です。FT 実施後の妊娠率は約 30%であり、処置から妊娠までの平均期間は 3-4 ヶ月です。処置は当院外来手術室で行い、入院の必要はありません。

FT が適応になる方

  • 自然妊娠や人工授精による妊娠を希望される方
  • 子宮卵管造影検査で卵管の閉塞(詰まり)や狭窄(狭まり)が認められた方
    ※FTは月経中でなければ実施可能です。

子宮卵管造影検査

処置の手順

1.治療器具は、内視鏡(卵管鏡)を内蔵したカテーテルです。

2.経腟的にカテーテルを子宮に挿入し、卵管鏡で卵管口(卵管の入口)を探します。

3.卵管口から卵管に向けてバルーンを挿入します。

4.バルーンを膨らませて卵管の閉塞や狭窄部位の拡張を行い、バルーンを進めていきます。

5.障害部位が開通した後、卵管鏡で卵管内腔を観察しながらバルーンを戻していきます。

静脈麻酔を行うので痛みはありません。処置の時間は両側でも30分程度です。

合併症

以下の症状が生じることはありますが、重症や入院となることは非常に稀です。

出血

カテーテル挿入時に軽度の出血が起こることがありますが、通常は自然に止血します。

卵管穿孔

卵管癒着が強い場合、処置により卵管に穴があくことがあります。通常、穴は小さいため、自然にふさがります。

腹腔内感染

子宮や卵管に感染が起こることがあります。予防的に抗生剤を処方します。

その他

麻酔薬の副作用で嘔気等の症状がでることがあります。

FT 後の治療方針

FT 実施後の妊娠率は約30%であり、処置から妊娠までの平均期間は3~4ヶ月です。
当院では処置後約6ヶ月間、タイミング指導や人工授精による治療を行い、妊娠に至らなければIVF へのステップアップを考慮していきます。

処置は医療保険の適応となり、片側の処置で約150,000円、両側では約300,000円になります。
※高額療養費制度の適応となるため、限度額適応認定証の提出で一定額のお支払いとなります。
   費用に関するご質問は受付にお申し出ください。

FT1日コースをご希望の患者様へ(オンライン診療~FT実施までの流れ)

  1. 以下の結果をご用意ください。
    1. 卵管造影の結果(紹介状やフィルム)
    2. 感染症結果:梅毒(RPR、TPHA) 肝炎(HBs抗原、HCV抗体) HIVの5項目
    3. 肝機能(AST、ALT)腎機能(クレアチニン、BUN)
    4. 末梢血液一般検査
    5. 血液型 ※血液型のみ1年以上前のものでも構いません
    6. クラミジア抗原(膣分泌液より採取)※陽性の方は治療後にFTとなります

    ※いずれも検査項目、検査日、ご本人氏名が明記された2年以内の結果
    ※オンライン診療ご予約日までに紹介状を開封せず当院までご郵送ください。
     送付先:〒550-0015
          大阪府大阪市西区南堀江1丁目17-28 IVFなんばクリニック 業務課
    ※事前に紹介状の郵送が間に合わない場合は、郵送後再度オンライン診察を受診していただきます。
    ※相談を希望されている方は、a~fが不足していてもオンライン診療で相談をお受けできますが、再受診が必要になることがあります。

  2. オンライン診療のご予約をお願いします。 オンライン診療アプリ『クリニクス
  3. オンライン診療にてFTの相談をお受けします。
  4. FTをご希望であれば、医師より「FTについての説明書」「同意書」「予約票」等をクリニクスを通して送らせていただきます。
  5. 月経開始後、電話でFTの予約をお願いします。
  6. 手術当日は、9:00に来院いただき、診察→FT実施→診察となります。
  7. 手術当日は静脈麻酔を使用します。
    麻酔で気分が悪くなる場合がございますので、予定を一日開けていただくことをおすすめいたします。