患者様のこれまでの治療歴・ご年齢・検査結果を総合的に判断し、まずはこの治療の中でより自然に近い形で早期に妊娠ができるように治療内容を計画・提案していきます。
排卵誘発剤を行わない自然周期による治療と、適切な排卵誘発剤を用いた排卵誘発周期による不妊の治療があります。
自然の状態では卵子の発育が困難な場合、薬剤を用いて卵胞(卵子の入ったふくろ)の発育を促します。月経不順・無月経・多嚢胞性卵巣などに適応があります。
排卵誘発法により多数の卵胞が発育してしまった場合、多胎妊娠のリスクを考えタイミング療法や人工授精の治療を中止し、その周期は避妊を指示することもあります。
タイミング療法とは、超音波検査での卵胞の大きさや基礎体温によって排卵日を予測し、夫婦生活の効果的なタイミングをアドバイスし妊娠を目指す方法です。時期や必要に応じて排卵を促すためのhCG注射を投与することもあります。
ご夫婦ともに検査に異常がなく、これまで不妊治療歴がない、または短い場合、まずこのタイミング療法から開始します。
人工授精とは、精子を子宮腔内に直接注入し、精子と卵子が出会う経路を短縮し、卵管内で出会う確率を高める方法です。
まず超音波検査や基礎体温から排卵日を予測し、人工授精の日程を決定します。
人工授精当日、マスターベーションにより採取した精液を洗浄・濃縮し、不動精子や細菌などを取り除き、状態のいい精子を集め、子宮腔内へ注入します。人工授精当日もしくは前日、必要であれば排卵を促すためにhCG注射を行います。人工授精後は感染予防のため抗生物質の内服と、高温期をサポートするための黄体補充療法を行います。
1回の人工授精の妊娠率は平均して7-10%です。しかし患者様のご年齢や精子の状態などによって大きく異なります。
当院で人工授精され妊娠された方が何回目の人工授精で妊娠したかの図です。
人工授精で妊娠された方の87%は5回目以内で妊娠しています。
6回目以降では妊娠率が低下します。つまり、人工授精を4-5回くらい行っても妊娠しない場合、次のステップ(体外受精)へ進んだほうがよいと考えられます。