IVFなんばクリニックは平成16年8月にISO9001の認証を取得しています。ISO9001とは品質管理における世界共通のルールで、品質に焦点をあてた企業や病院の経営のルールで、患者様のサービスを向上させることを目的としていますが、患者様からお預かりした受精卵の取り違え等の事故が発生しないようなシステムが構築されているかも、外部の審査員によって重点的にチェックをされます。さらに業務が正しく行われているか、問題発生の原因となりうるシステムの不具合がないか定期的に内部監査を行っています。また、姉妹クリニックであるIVF大阪クリニックとの相互内部監査も実施しています
JISART(日本生殖補助医療標準化機構) は、日本の不妊治療における治療の質の向上と、その水準維持を達成すべく結成された生殖補助医療専門施設が加盟している団体で、患者様の満足度を向上させることを主な目的としています。ISO9001と同様に、事故やトラブルが発生したときの対応方法や安全管理、卵や精子を扱うときのダブルチェックの方法、停電時のバックアップ体制などの危機管理対策がなされているかを厳しく審査されます。
同姓同名や類似名の患者様がいたり、極度に緊張され他人の名前を言っても「はい」と答えられてしまう場合も考えられます。そこで、人工授精や体外受精などの患者様の入退室時、精子の受け取り時、注射の施行時には、必ずフルネームと生年月日でご本人確認を実施しています。さらに胚移植直前には「○○様~個胚移植します。」と声に出し、胚移植に関わる全員(患者様、医師、看護師、超音波担当者、胚培養士)で最終確認を行い、移植を実施するようにしています。
卵胞液のチューブ一本毎にバーコード管理された照合用ラベルを貼ることで、識別を確実にしています。看護師は患者様のお名前を一本一本確認しながら、培養室へのパスボックスに卵胞液を入れます。採卵終了時には、次の患者様の卵胞液と混ざってしまうことを避けるため、看護師が最後の卵胞液であることを告げ、パスボックスを完全に閉めます。検体が残っていないことを確認して次の患者様の採卵を開始するため、他の患者様の卵胞液と入れ違いになる危険性はありません。
検体容器のフタと本体には予め奥様の名前、生年月日が記載されています。採精室へのご案内の際、奥様の名前・生年月日を口頭で確認しています。
当院では体外受精におけるお名前の記載はすべて奥様の名前に統一しているため、精液の容器にも使用するチューブにも奥様のお名前を記載しています。
精子の調整に必要な遠心機、インキュベーター(保温器)も1台のクリーンベンチ内にあり、調整の間その中から出すことはありません。調整に必要なチューブ等にはすべて照合用ラベルが貼られています。これらをバーコードリーダーで照合し、二名の胚培養士でダブルチェックすることで、同一の患者様の検体であることを確認しています。
培養容器本体とフタの両方には照合ラベルが貼られています。胚を別の容器に移す際(採卵・胚移植・胚凍結・胚融解)や一般体外受精、顕微授精の際は、精子調整時と同様にバーコードの照合とスタッフによるWチェックを行っています。
私たち生殖医療に従事するスタッフは、患者様の大切な胚をお預かりするという重大な責任を担っていることをしっかりと心して、日々の培養室業務を遂行しています。今後もISO9001やJISARTのガイドラインを基にしたシステム作り、リスクマネジメントで事故防止に努めていきたいと考えています。