男性不妊症とは「妊娠にいたる精子を産生し、それが障害なく正常の性交によって男性側の精路を通過し射精され、女性側の体内において受精する能力に障害があるもの」と定義されています。不妊症において男性因子の占める割合は、不妊原因全体の約50%にのぼると言われており、女性だけでなく男性も適切な診療、検査を受けていただく必要があります。
当院ではスクリーニング的な問診と検査、診察を不妊症担当医師がまず行います。精液検査と、男性ホルモンの血液検査の結果、さらに診察や検査が必要な場合は男性不妊症専門の泌尿器科医師によるさらに詳しい診察および検査を受けていただく場合があります。専門の医師が対応することにより難治性の男性不妊にも十分に対応しています
性交障害 勃起機能の低下(ED) 射精障害 膣内射精障害
前立腺炎 精嚢腺炎など。
精管がふさがっている、狭い 精巣上体炎などの炎症 精嚢精管の形成不全 ヘルニア手術 パイプカットなどによる障害を原因とするもの。
特発性造精機能障害 精索静脈瘤 耳下腺炎性精巣炎 先天性疾患 両側停留精巣 染色体異常 遺伝子異常
※男性不妊症と染色体異常、遺伝子異常の関係についてはこちらへ
男性不妊といっても原因は様々です。どこに問題があるのかを突き止めることが重要であり原因によって治療法も大きく変わってきます。
無精子症や他の治療が無効な射精障害の場合に精巣から直接精子を採取する方法です。
具体的には、陰嚢の皮膚を1~2cmほど切開し、精細管を回収します。回収した精細管はすぐに専門の技師により精子が存在するか全てを確認します。運動精子が存在すればすべて凍結保存し、顕微授精に用います。
閉塞性無精子症では精巣のどの部分でも均等に精子をつくっていますが、非閉塞性無精子症では精子をつくていてもごく一部の限られた部分でしか精子をつくっていないことがあります。
従来の方法では精子から精細管を採取する際、目視で採取するため、やみくもに精細管を採取し精子を探していました。
当院では顕微鏡を使用しての手術(microdissection TESE)を実施しており、精子の存在しそうな精巣内の良い状態の精細管をピンポイントで探し精子を回収することが可能です。
この方法だと精子を発見できる確率も従来の方法より高くなり、また精細管の採取も必要最低限ですみ、手術後の男性ホルモン低下等の副作用もほとんどありません。また、手術後のフォローも当院の泌尿器科医師が行っています。
局所麻酔での手術になりますので日帰りで行えます。個人差はありますが手術時間は1~2時間程度で終了し、手術後も1~2時間程度で帰宅できます。疼痛も手術当日と翌日ぐらいはありますが、処方するお薬で痛みもコントロールできます。
精巣内精子回収術(TESE)には男性不妊専門の泌尿器科医師と専任看護師、生殖技術部門の技師がチームとして治療にあたります。
精巣から流出した静脈に血液がうっ滞し腫れが生じることです。
一般男性の約15%、男性不妊症患者さんの40%以上に認められると言われています。
血管の走行などから左側に多く発症します。
陰嚢部の腫れ、不快感や鈍痛を自覚する場合がありますが、多くの方は無症状です。
視診・触診・超音波を用いた静脈の拡張や逆流を確認します。
当院では超音波カラードプラを用いた診断を行なっております。
静脈瘤は程度によってグレード1(軽度)~3(重度)に分類されます。
グレード1 | 立位で腹圧をかけると触診出来る。 |
---|---|
グレード2 | 立位で腹圧なしに触診出来る。 |
グレード3 | 立位で腹圧なしに視診で診断可能。 |
男性不妊症の患者さんで、中等度以上の静脈瘤を認め、精液所見が悪い場合には手術の適応になります。多くは、静脈瘤の手術を行なう事で50~80%程度に精液所見の改善を認めたと報告されています。
精索静脈瘤にはいくつかの手術方法がありますが、当院では手術用顕微鏡を用いた低位結紮術を行います。低位結紮術は他の手術法に比べて、再発が少ない、陰嚢水腫の合併が少ない、創が小さい、局所麻酔での日帰り手術が可能、などの特徴があります。
精索静脈瘤に対する治療は、自然妊娠の改善だけでなく、人工授精・体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)の成績を改善するとされています。
詳しくは泌尿器科担当医師へお尋ね下さい。
1 | 婦人科の診察に夫婦で来院(男性不妊にて他院より紹介状を持参されている場合も診察を受けていただく必要があります。 詳しくは受診方法をご覧ください)診察、ホルモン採血、後日2~3以内の禁欲期間をとり精子検査(予約制) |
---|---|
2 | 泌尿器外来へ(毎週水曜日PM予約) |
3 | 採血、精液検査結果、方針決定 |
4 | 手術が必要であれば手術のインフォームドコンセント、日程決定 |
5 | 術前検査(心電図、血液検査)を施行します。 検査所要時間約1時間ほどです。費用についてはこちら |
6 | 手術は午前中に行います。 |
7 | 手術翌日、傷口の消毒。TESEの方は精子凍結の確認。 |
8 | 2週間後に抜糸、診察。 |
9 | TESEの方は必要に応じて、手術より3ヶ月以降に男性ホルモンの採血、診察。 |
ご遠慮なく当院まで御連絡いただきますようお願い申し上げます。
既婚男性、もしくは婚姻予定のパートナーありの方対象に1日で診察・精液検査・結果説明を行うプランです。
所要時間: | 3~4時間予定 |
---|---|
当日の流れ: | 診察→原精液検査→結果説明 |
禁欲期間: | 2~3日間 |
予約: | 初診エントリーフォームにてエントリーをお願い致します。 エントリー時、備考欄に”男性不妊検査(1日パック)希望”と明記いただけるとお話がスムーズになります。 |
※奥様(パートナー様)の検査もご希望される場合は通常の初診予約となります。