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ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)参加報告(門上医師)

2019.7.10
レポート
医局より

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こんにちは。医局の門上です。

6月23日から26日に開催されたESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)に参加してきましたのでその報告をしたいと思います。

ESHREは参加人数12000人を超える、生殖領域で最も大規模で権威ある学会の1つです。今回はウィーンで開催され、私は「Antibiotic treatment for chronic endometritis shows more efficacy in success rates of assisted reproductive technology than endometrial scratch in women with repeated implantation failure」という題で発表を行いました。子宮内膜間質における局所炎症疾患である慢性子宮内膜炎が着床障害の原因になりうるという内容です。慢性子宮内膜炎は反復着床不成功の方の約30%-40%で認められ、抗生物質治療により妊娠転帰が改善されることをデータと共に発表しました。

最近、生殖医療の領域では着床障害と初期流産の分野に対する関心が高まっており、今回の私の演題もこの分野になります。臨床的には着床の時期やマーカー、黄体補充、子宮内フローラ、その他着床率を上げるための様々な工夫についての発表が数多くされており非常に勉強になりました。着床についてはそのメカニズムを含めて未解明な点が多く、胚に比べて研究は遅れています。しかし裏を返せば、まだまだ妊娠率を向上できる手段が隠されている分野であると言えます。当院では着床障害に関わる子宮内細菌の検査として、慢性子宮内膜炎の検査を行っていましたが、現在は子宮内フローラの検査にシフトしています。この検査は子宮内の菌叢(菌の集合体)を遺伝子レベルで解析してどのような菌がどれくらいの割合で存在するのかを解析する検査になります。子宮内フローラはその治療法を含めて未だ未解明な点がある分野ですが、慢性子宮内膜炎に比べて検査感度が高く、着床障害で苦しむ患者様をより多く治療できる可能性があります。今回の学会参加で得た知識・経験を診療に還元するとともに、今後も引き続き最新の知見を取り入れ、先進的な研究・治療を行っていきたいと思います。着床障害検査について説明ご希望の際は、いつでも気兼ねなくお尋ねください。

余談ですが、学会期間中ヨーロッパは記録的猛暑でした。最終日には世界遺産のヴァッハウ渓谷に行き、修道院の見学やドナウ川クルージングを行い、大変面白く、気持ち良かったのですが、猛暑の中の徒歩移動はそれ以上に疲れました笑。

日本でも今後暑い日が続くと思いますので、くれぐれも体調管理にはお気をつけください。