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メラトニンについて(山内医師)

2019.5.4
レポート
医局より

通院中の患者様へ

今回担当致します医局の山内です。

最近随分と暖かくなってきました。陽が昇るのが早くなり、街中を歩いていても花が咲いて明るい雰囲気になっているように思います。我が家でも先月末から急に目が覚めたかのように色々な植物が芽吹きはじめ、春の訪れを感じています。昨年の秋以降放置していたシラン(紫蘭)は完全に枯れてしまったと思っていたのですが、先々週から新芽が出始め、数日前より花が咲き始めました。改めて植物の強さと植物内に備わった体内時計を実感する事になりました。植物の世界では体内時計を解明する事で、品種改良を行って、食糧問題を解決しようとしている研究もあるようです。

体内時計は植物だけでなく、人間にも動物にも菌類にも備わっています。人間の場合、体内時計を調節する重要な役割を担っているのが、松果体から分泌されるメラトニンをいうホルモンです。

メラトニンの分泌は10歳頃がピークで、年齢を重ねるとともに分泌量が減ることが明らかになっています。年をとると朝早く目覚めたり、夜中に何度も目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減ってくるのは、加齢により体内時計の調節機能が弱まっているためと考えられています。

メラトニンは目覚めてから光を感知すると、14〜16時間後ぐらいに分泌されます。そのため夜になると、徐々にメラトニンの分泌が高まり、その作用で深部体温が低下して、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。季節性うつ(季節性感情障害)が冬季に多いのも、日の出が遅く日照時間が短いため、メラトニンの分泌が乱れる事で起こりやすいと言われています。冬場はなんとなく調子が出なかったり、活動的になれないのはメラトニンが不足しているからかもしれません。

メラトニンは眠りを誘う以外に、抗酸化作用があったり疲労の回復を促したりと、抗加齢の分野でも以前から注目されています。また不妊治療の領域でもメラトニンを補充する事で、受精率や胚質・妊娠率に寄与する事が報告されています。

不眠になる事で、自律神経の乱れや過食により肥満や高血圧・糖尿病などになりやすい事が知られています。

メラトニンの分泌が低下しないようにするためにも、朝はだいたい同じ時間帯で起きて、夜はなるべく夜更かしをせず、スマホなどのブルーライトを浴びないようにするといった基本的な事が大切です。

また、お昼寝は午後3時までで長くても30分以内が推奨されています。30分以上寝てしまうと深い眠りに入るので、眠りからなかなか覚めることが出来ず、眠気も残り、かえって能率を下げてしまいます。

もし眠りが浅い場合や、夜型生活になりがちな患者様はメラトニンのサプリメントを服用する事をお勧めします。

私も実際にメラトニンを服用した事があるのですが、服用すると朝の目覚めが悪く、2週間ほどで止めてしまった経験があります。その時は寝る直前に内服していました。通常メラトニンは午後7時以降に分泌が増加するので、メラトニンのサプリメントは、本当は睡眠の5-6時間前(日没時)には内服すべきなようです。メラトニンを内服してもあまり効果を感じなかったり、私のように起床時の調子を崩してしまう場合は、内服するタイミングが合っていない可能性があります。

追記です。
植物に関連して、これからの季節だと長居植物園は特にお勧めです。お近くにお住まいの方は是非行ってみて下さい。大阪市内とは思えないほど、お花や木々が溢れています。気晴らしに如何でしょうか。

また、漢方薬は様々な生薬の組み合わせで作られていますが、その殆どは植物から出来ています。当院でも妊娠に向けた漢方薬の取扱いがあります。殆どが保険で処方可能ですし、特にイライラやストレス・不安・冷え性などの症状にはお勧めします。もしご希望があれば、漢方コーディネートなどでそれぞれの患者様に合った処方を考えますので、一度ご相談ください。

治療は精神的にも体力的にも経済的にも辛い事があるかと思います。注射や内服のホルモン剤を使って治療をするだけでなく、なるべく負担が少なく、気になるものがあればどんどん利用して下さい。

〈まとめ〉

・メラトニンは体内時計の調節に大切

・メラトニンの分泌が低下しないようにするために規則正しい生活と夜間はスマホなどのブルーライトを浴びないようにする

・メラトニンのサプリメントには、抗加齢の効果や受精率や胚質・妊娠率の改善の報告がある

・メラトニンをサプリメントで補う場合は、睡眠の5-6時間前に服用を

 

画像はクリスマスローズの写真です。
『いたわり』『不安を和らげて』など気持ちを落ちつけてくれるような花言葉がたくさんつけられています。寒さに負けずに冬から長期間咲いてくれています。