診療のご案内

手術療法

不妊症の治療の一つに手術療法があります。入院が必要なことや手術の危険性もありますが、その負担に見合うだけの高い効果がある方を対象に手術を行うことになります。


手術の適応としては、卵管閉塞、卵管周囲癒着、卵管水腫などの卵管因子、子宮筋腫、子宮奇形、子宮腺筋症などの子宮因子、卵巣チョコレート嚢腫などの子宮内膜症があります。手術をすべきかどうかの基準は、医療施設や医師により異なる場合があること、また、自然での妊娠を希望されている場合と体外受精を希望されている場合では、手術の基準や手術の方法が異なることがあります。


当院では、年間約40例の不妊症に対する手術を行っております。平成16年から平成21年までの6年間で243例、そのうち腹腔鏡下手術が138例57%(卵管形成術および卵管切除:33%、子宮筋腫核出術:8%、子宮内膜症手術:9%)、開腹手術56例23%(子宮筋腫核出術:23%、他子宮腺筋症手術、子宮形成術)、子宮鏡下手術49例20%(子宮筋腫摘出術または子宮内膜ポリープ切除術:20%、他中隔切除術、子宮内宮癒着剥離術)となっています。


治療の効果に関しては、平成21年に手術を受けられた41例の方のうち、19例(46.3%)が妊娠に至っています。


不妊症に対する手術の多くは、不妊治療を行っていない一般病院で行われています。当院での手術の特徴は、不妊専門医が手術の必要性を診断し、直接手術を行い、引き続きその後の不妊治療も行い、不妊治療の一連の流れの中で手術を考えている点にあります。手術が妊娠成立に対してもっとも適し、さらにその後に悪い影響を及ぼさないように考えて、手術を行っています。実際の手術は、IVFなんばクリニックから中岡医師とIVF大阪クリニックから杉原医師との2人が河内総合病院にて行っております。


手術に関してお悩みの方は、当院に受診されていない方でもセカンドオピニオンを受けていただくことができます。ご相談ください。


手術方法(243例)

T.手術の適応疾患

  • @卵管異常(卵管周囲癒着、卵管采癒着、卵管水腫など)
  • A子宮筋腫
  • B子宮内膜症
  • C子宮奇形
  • D粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ

があります。
具体的にそれぞれの内容について説明いたします。

@卵管異常

1. 卵管周囲癒着、卵管采癒着

卵管の癒着は卵管の通過性を悪くしたり、卵子のピックアップ障害を引き起こすことになります。癒着を取り除く手術を行います。

正常な卵管
2.卵管水腫

卵管采部(卵管の先)が、ソーセージ状に丸くなり完全に詰まっている状態で、その中には、妊娠に悪影響を与える液がたまっています。卵管が完全に詰まっていますので、卵子や精子は通ることができず、自然妊娠は成立しません。


自然妊娠を希望される場合には卵管形成術(卵管を元通りに治す手術)を行います。


卵管形成した卵管の先の部分は、卵管水腫に戻ることを防ぐために解ける糸で縫い合わせ固定します。ただ、手術後に卵管水腫に戻ってしまうこともあります。


卵管水腫がある女性の体外受精の成績は、卵管水腫がない女性と比較して妊娠率が約1/2に低下し、流産率が2倍に上昇します(グラフ;卵管水腫と体外受精の成績)。卵管内の水が子宮内に流れ込むことにより、子宮内の環境を悪くし胚が成長しにくくなることと、水の流れで胚が押し流される可能性があること、さらに子宮内膜へ悪影響により着床後の胚の成長が妨げられることがその原因と考えられます。そのために、卵管切除または卵管切断術(クリッピング術)による手術療法は非常に有効となります。

卵管水腫

〜卵管水腫の手術〜

卵管切除術、卵管形成術

体外受精の成績(卵管水腫の手術実施の有無で)

卵管水腫と体外受精の成績

A子宮筋腫、及びD粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ

子宮筋腫は存在する場所により、漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫に分けられます。手術の適応は施設によりばらつきがあります。


ただ、粘膜下筋腫の場合は、その大きさによらず手術の適応となります。着床部位の子宮内膜に影響を及ぼすため、妊娠率の低下を引き起こします。


筋層内筋腫の場合は、子宮筋腫の大きさと内膜への影響により手術の適応があるかが診断されます。


漿膜下筋腫の場合には、大きくても多くは手術の適応となりません。

子宮筋腫、及びD粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ

筋層内筋腫の手術方法は、子宮筋腫の大きさと個数から開腹手術か腹腔鏡手術を決めます。一応の目安は、直径が6cm以下で、2個までの筋腫であれば腹腔鏡下子宮筋腫核出術が可能と考えております。


粘膜下筋腫に対しては、積極的に子宮鏡下手術を行っています。おなかを切らずに腟から子宮内に内視鏡を入れて行う手術ですので、手術後の痛みはほとんどなく、手術後すぐに日常の生活に戻ることができます。

B子宮内膜症

不妊女性の25-40%に子宮内膜症が認められるとされ、また、子宮内膜症がある女性の30-50%が不妊症になるとされています。


子宮内膜症と不妊症との関係は明らかで、その原因は卵管の癒着による卵子のピックアップ障害や卵管通過性障害、さらに腹腔内の細胞障害物質などによる卵子の障害などが考えられています。


卵巣チョコレート嚢腫が認められる子宮内膜症は重症型です。その治療方法は年齢や不妊治療歴などから個別に考える必要があります。


 腹腔鏡は、原因不明不妊症の診断として実施されることがあり、その検査で子宮内膜症と診断されることもしばしばあります。子宮内膜症を焼いたり切除したりする治療はもとより、腹腔内を洗浄するだけで妊娠に至ることもしばしば認められます。


 子宮内膜症チョコレート嚢腫の治療としての腹腔鏡手術は、一般的に嚢腫核出術です。ただ、嚢腫核出では正常卵巣組織の一部が一緒に摘出されてしまい、その結果残る卵巣組織が少なくなることがあります。核出術を何度も繰り返した方の中には、卵子を含む正常の卵巣組織がなくなることがあります。年齢が若く(35才くらいまで)、十分に自然妊娠が期待できる場合には、子宮内膜症は手術対象と考えられます。年齢が35才以上であれば、体外受精を積極的に実施すること必要と考えています。

C子宮奇形

子宮奇形の多くは中隔子宮と弓状子宮です。


子宮奇形がある場合には、子宮内の血流が悪くなることから流産率が高くなります。3回以上の流産を繰り返す習慣流産となった方は、手術も治療の1つとして考える必要があります。


手術は開腹手術または子宮鏡下手術により行います。子宮の中隔などの余分な部位を切除し、きれいな形の子宮に戻します。その手術により流産率が減少します。

子宮の奇形

U.手術費用

すべての手術は健康保険の適用となります。ただ、個室と2人部屋は別に部屋代が必要となります。
(手術当日と翌日は原則個室ないし2人部屋に入っていただきます。)

腹腔鏡下手術 卵管形成術、卵管切除術 約18万円
子宮筋腫核出術 約19万円
子宮鏡下手術 約12万円
開腹手術 約19万円

V.入院スケジュール

実施事項 実施日(目安) 内容
手術予約 - IVFなんばクリニック手術担当医の診察
手術前検査
(手術に関する諸検査)
手術の約1ヶ月前 森本記念クリニック(河内総合病院の外来施設)で実施となります。
・手術についての説明
・手術前検査の結果説明
手術の約2週間前
(手術前検査の約1週間後)
ご夫婦でIVFなんばクリニックを受診して頂き、手術担当医が行います。
入院の手続き 手術の1週間前までに 森本記念クリニック(入院時の説明)と河内総合病院(入院手続き)へ行って頂きます。
入院 手術の前日 -
手術当日 (ご主人は)12:00頃には
河内総合病院にお越しく
ださい。
ご主人の付き添いが必要です。手術後に手術内容の説明をご主人にさせて頂きます。
退院予定日 - ・子宮鏡下手術…手術から3日後
・腹腔鏡下手術…手術から5日後
・開腹手術…手術から8日後
術後の経過観察 退院日から約2週間後 IVFなんばクリニック手術担当医が行います。
※受診回数については、個々の症状、経過等により変わります。

手術に関して、ご不明な点がありましたら、中岡医師または、手術担当看護師までお問い合わせください。

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