診療のご案内

胚凍結のための新技術

当グループでは1996年に初めて胚を凍結融解し妊娠に成功して以来数多くの治療を行ってきました。そして、最近ではガラス化法という新しい凍結技術を採用しさらに実績をあげています。ガラス化法では、受精卵の殆どが生還しますし、従来の方法では凍結がうまくいかなかった胚盤胞の凍結もうまくいきます。
胚を様々な段階で凍結することによって、次に述べるような色々な治療に応用できます。

■胚凍結をする利点

■多胎妊娠の回避(余剰胚の凍結)

体外受精で、たくさんの移植可能胚があっても、子宮に戻す事ができる個数は多胎妊娠を防ぐために最高でも3個に制限しています(通常は2個)。凍結の技術がまだ確立されていなかった時には、移植しない胚は廃棄するしかありませんでした。しかし、胚を凍結保存する事が可能となり、別の周期に余剰胚を融解し移植することができるようになりました。

■着床条件の改善

採卵には一度にたくさんの卵子を成長させるために排卵誘発剤などを投与し、異常に高いホルモン環境になり、子宮内膜と胚の発育のタイミングがずれることがあります。このような場合、受精した胚を一旦凍結し、それ以降の自然周期または ホルモン補充周期(※1) で子宮内膜の着床環境をととのえてから胚移植をおこなうことができます。

ホルモン補充周期とは

自然の排卵を抑える点鼻薬を使用し、人工的に卵胞ホルモンと黄体ホルモンを投与して子宮内膜を着床しやすい状態にして胚を融解し、移植をおこなう方法です。胚移植の時期があらかじめ予想できることや、通院回数が少なくて済むといった利点があります。 また着床に適したよい内膜ができやすいので、採卵周期の胚移植で妊娠に至らなかった場合でも、その後のホルモン補充周期による融解胚移植で妊娠されたということが少なくありません。

■経済的・身体的な負担の軽減
一度の採卵で、よりたくさんの卵子を回収したいため、排卵誘発剤を多量に使用することがあります。その場合、患者様には身体的・精神的・経済的に負担がかかってしまします。余剰胚を凍結することにより、一度の採卵で複数回の胚移植が可能となり、これらの負担が軽減するのでは?と考えています。 また、卵巣過剰刺激をおこしやすい患者様の場合には、受精した胚を全て凍結し次周期以降に融解胚移植をおこなうことにより 卵巣過剰刺激症候群(※2) を回避することができます。

卵巣過剰刺激症候群

通常OHSSと呼ばれ、排卵誘発剤(特に注射)で多く問題になる副作用で、おなかが張る・血液が濃縮するといった症状があらわれます。おなかが張るのは排卵誘発剤によって刺激された卵巣そのものがはれたり、二次的に周辺にお水が(腹水)が溜まることが原因です。このような時に妊娠が成立した場合にさらに症状が悪化するのが特徴です。 OHSS軽症の場合には、軽い膨満感・違和感程度ですが、ひどい場合には卵巣はスイカほどの大きさに腫れたり、痛みや食欲不振・便通に異常がでたりすることもあります。胸に水が溜まると、呼吸困難を起こすこともあります。

■胚凍結に関するQ&A

■Q1. 胚を凍結している期間が長いと、胚に何か影響がありますか?
A1.胚の保存期間による影響は報告されていません。
胚は、半永久的に保存できると言われています。当クリニックでも、先日5年間凍結保存をしていた胚での妊娠例がありました。ですが、倫理的な問題もあり、凍結の期間は最長でも10年間としています。

■Q2. 一度融解した胚を再凍結することはできますか?
A2.可能です。再凍結胚の融解胚移植による妊娠もみられます。
けれども、再凍結した胚が元気な状態で戻ってくる確率は、1度目の凍結よりは若干低くなります。

■Q3.融解後の胚の生存率はどれくらいですか
A3.凍結した胚の発育段階にもよりますが、新しいガラス化凍結法を用いますと85〜100%の確率で元気に戻ってきます。



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